
厚生労働省から2022年度の予算の概算要求が出ています。そこから22年度に新たに公募される助成金、「キャリアアップ助成金」「雇用調整助成金」「働き方改革推進支援等助成金」などの人気助成金の今後の動向を予測できます。そこで今回は、22年度に出る助成金について紹介します。(カッコ内は前年度の予算)
まず「最低賃金・賃金の引上げに向けた生産性向上等の推進、同一労働同一賃金など雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」という項目ですが、予算が296億円(285億円)となります。その内、設備投資を支援する「業務改善助成金」が含まれる「最低賃金・賃金の引上げに向けた生産性向上等に取り組む企業への支援」は予算が34億円(12億円)と倍以上増額されており、業務改善助成金の支援規模が拡大されることが想定されます。
「雇用調整助成金」や在籍出向を支援する「産業雇用安定助成金」関連の予算が含まれる「雇用の維持・在籍型出向の取組への支援」は22年度の予算が公表されていませんが、今年度予算の6809億円と同程度の支援が引き続き行われることが考えられます。
就職氷河期世代の支援を拡充か
「就職氷河期世代の活躍支援796億円(679億円)」という項目では予算がさらに増額され、就職氷河期世代の失業者等の正社員雇用を支援する「特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)」の支援規模拡大が考えられます。
一方、キャリアアップ助成金が含まれる「非正規雇用労働者の正社員化・処遇改善を行う企業への支援565億円の内数(738億円の内数)」では、予算が200億円近く減額され、キャリアアップ助成金の規模が縮小すると想定されます。背景としては、コロナ禍により非正規労働者の失業が増加したため、正社員にキャリアアップさせる以前の問題として、上記の氷河期世代失業者の支援等に重点を置いたことが考えられます。
「柔軟な働き方がしやすい環境整備」という項目では予算が24億円(33億円)となります。その内、「良質なテレワークの導入・定着促進」の予算は19億円(28億円)であり、今年度よりテレワーク関係の支援が若干縮小します。テレワークが全国的に普及したためと考えらます。
「働き方改革推進支援等助成金」関連の予算である「安全で健康に働くことができる職場づくり288億円(290億円)」という項目では、「職場における感染防止対策等の推進10億円(9・8億円)」「生産性を高めながら労働時間の縮減等に取り組む事業者等の支援82億円(90億円)」「勤務間インターバル制度の導入促進27億円(24億円)」「年次有給休暇の取得促進等による休み方改革の推進1・7億円(1・9億円)」と、今年度と予算に大きな差異がなく、今年度と同様の規模・要件で働き方改革推進支援等助成金が公募されると考えられます。
「心の健康づくり計画助成金」や高齢者の安全対策を支援する「エイジフレンドリー補助金」などが含まれる「労働者が安全で健康に働くことができる環境の整備126億円(118億円)」という項目では「高齢者の特性に配慮した安全衛生対策を行う企業への支援7・4億円(6・5億円)」や「産業保健活動、メンタルヘルス対策の推進48億円(51億円)」とこちらも今年度と同程度の支援となることが想定できます。
その他では、女性活躍や育児・介護の両立等を支援する両立支援等助成金が含まれる「女性活躍・男性の育児休業取得等の促進178億円(193億円)」、高齢者の継続雇用を支援する65歳超雇用推進助成金が含まれる「高齢者の就労・社会参加の促進283億円(303億円)」などの項目があります。
22年度の助成金は業務改善助成金やキャリアアップ助成金等を除けば、大幅な予算の増減はないようです。
つまり、今年度と同程度の規模での支援が行われることが予想されます。細かい要件の変更はあるでしょうが、22年度での申請を検討している方は今のうちにどんな書類や取り組みが必要なのか把握しておくことをおすすめします。
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株式会社ナビット(https://www.navit-j.com/)
東京都千代田区。「地下鉄乗り換え便利マップ」などを展開するコンテンツプロバイダー。地域特派員5万8100人の全国の主婦ネットワークにより、地域密着型の情報収集を得意とする。
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