注目の助成金(95)新枠創設、事業再構築補助金3次公募の変更点

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中小企業庁の事業再構築補助金は売り上げが減少した中小企業や小規模事業者が既存の事業から新しい事業に転換した際の取り組みにかかる費用を支援する補助金です。

現在、3次公募(7月30日~9月21日)が公募されていますが、今までの要件から大幅な変更がなされています。

今回は、事業再構築補助金の3次公募の変更点について解説していきます。

新枠として「最低賃金枠」と「大規模賃金引上枠」が創設されました。

「最低賃金枠」とは?

「最低賃金枠」は近年の最低賃金引上げの影響を受けた中小企業を支援するもので、通常の事業再構築の要件に加えて、「2020年10月~21年6月の間で3ヵ月以上最低賃金+30円以内の従業員が全体の10%以上いる」「20年4月以降のいずれかの月の売り上げが前年または前々年同月比30%以上減少(売り上げを付加価値額に変更することも可能)」という要件も達成する必要があります。

つまり、売り上げが大幅に減少していて、従業員を低賃金で働かせている事業者のみ対象となります。なお、賃金を引き上げるという要件はありません。

補助額は従業員数で異なり、従業員数5人以下は100万~500万円、6~20人は100万~1千万円、21人以上は100万~1500万円となります。補助率は中小企業が4分の3、中堅企業が3分の2。「最低賃金枠」は審査の際に加点され、同じ特別枠の「緊急事態宣言特別枠」より採択率において優遇されます。また、不採択になっても、通常枠で再審査されます。

「大規模賃金引上枠」とは?

「大規模賃金引上枠」は従業員増加・賃金引上げ・生産性向上を目指す中小企業を支援するもので、補助事業実施終了年度から事業計画期間終了までに「事業場内最低賃金を年額45円以上引き上げる」「従業員数を初年度年率平均1%以上、次年度以降1・5%以上増員させる」という要件を満たす必要があります。また、従業員数は最低101人以上いなくてはなりません。

補助額は8千万円超~1億円、補助率は中小企業3分の2(6千万円を超える部分は2分の1)、中堅企業2分の1(4千万円を超える部分は3分の1)。また、大規模賃金引上枠で不採択となった場合、通常枠で再審査されます。補助額は大きいですが、賃金引き上げと従業員数増員がマストとなるため、従業員が多ければ多いほど人件費の負担が大きくなります。なお、人件費の補助はありません。

通常枠の上限額も見直し

次に、通常枠の補助上限額が見直されました。補助額は従業員によって異なり、従業員数20人以下は100万~4千万円、従業員数21~50人は100万~6千万円、従業員数51人以上は100万~8千万円となります。補助率は中小企業が3分の2(6千万円を超える部分は2分の1)、中堅企業が2分の1(4千万円を超える部分は3分の1)となります。

売上減少要件も見直されました。「20年4月以降の連続する6ヵ月間の内、任意の3ヵ月の売り上げが、19年1月~20年3月の同3ヵ月と比較して10%以上減少」かつ「20年10月以降の連続する6ヵ月間の内、任意の3ヵ月の売り上げが、19年1月~20年3月の同3ヵ月と比較して5%以上減少」という要件になりました。

また、売上減少要件を満たしていなくても、付加価値額の減少を代用できるようになりました。具体的には「20年4月以降の連続する6ヵ月間のうち、任意の3ヵ月の付加価値額が19年1月~20年3月の同3ヵ月と比較して15%以上減少」かつ「20年4月以降の連続する6ヵ月間のうち、任意の3ヵ月の付加価値額が19年1月~20年3月の同3ヵ月と比較して7・5%以上減少」を満たす必要があります。

再度申請が可能に

その他にも変更点があります。一度申請したが形式的な不備などにより申請要件を満たさなかった事業者に対して、締切前にその旨を通知し、再度申請できるようになりました。また、新たな事業の「新規性」判定について、「過去に製造等した実績がない」から「コロナ前に製造等した実績がない」に変わりました。

3次公募は従業員数によって補助額が変わったり、売上減少要件がより厳しくなるなど、前回より複雑化しています。申請前に従業員数と売上台帳を確認して、売上減少要件に合致するか、どの枠やどの補助額で申請できるか等を把握しておきましょう。

    株式会社ナビット(https://www.navit-j.com/)
    東京都千代田区。「地下鉄乗り換え便利マップ」などを展開するコンテンツプロバイダー。地域特派員5万8100人の全国の主婦ネットワークにより、地域密着型の情報収集を得意とする。
    最新の情報は、助成金・補助金の検索サービス「助成金なう」へ
2021年08月26日付6面に掲載
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2018年12月25日 住宅産業新聞社 編集部

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