注目の助成金(83)「低感染リスク型ビジネス枠」が新設

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小規模事業者の販路開拓費用全般を補助する補助金として例年大変人気が高い中小企業庁の小規模事業者持続化補助金ですが、2021年から「低感染リスク型ビジネス枠」という特別枠が新設されました。今回はこの低感染リスク型ビジネス枠について解説します。

低感染リスク型ビジネス枠では、新型コロナウイルス感染症による影響を最小限に留めるため、販路開拓と感染拡大防止が両立できるような取り組みを支援します。通常の小規模事業者持続化補助金では売上拡大や販路開拓に資する取組全般が対象となりますが、低感染リスク型ビジネス枠では、「対人接触の減少に資し、且つ新たなサービスや生産プロセスの導入」である取り組みが対象になります。つまり、「来店受付がメインだった不動産業者が受付席に仕切りを設けた上で、オンラインでの予約受付システムを導入する」「旅館が宿泊者のみに提供していた料理をテイクアウト用に開発する」といった取り組みが対象になります。単に「来訪客を増やすために店舗を改装する」だけでは「対人接触の減少」とも「新しいサービス導入」とも認められず対象となりません。

低感染リスク型ビジネス枠では補助額・補助率が通常(補助上限50万円、補助率3分の2)よりアップしています。補助上限額は100万円、補助率は4分の3です。

補助対象経費は通常のものと同じく機械装置費、広報費、展示会出展費、外注費、店舗改装費等幅広い経費が対象となります。尚、展示会等出展費はオンラインによる展示会等に限ります。また、1件当たり税込100万円超の発注、または中古品の購入については相見積が必須となります。

低感染リスク型ビジネス枠では、申請前に発注・契約・納品・支払い・使用が行われた経費も21年1月8日以降のものであれば対象となります。さらに換気機能付きエアコンや空気清浄機等の感染防止対策費も補助金総額の4分の1(上限25万円、補助率100%)を経費として計上できます。尚、「緊急事態宣言の影響により21年1月~3月のいずれかの月間事業収入が前年同月比または前々年同月比30%以上減少した事業者」は補助金総額の2分の1(最大50万円)に引上げられます。

審査の際の加点項目としては、「緊急事態宣言の影響により21年1月~3月のいずれかの月間事業収入が前年同月比または前々年同月比30%以上減少した事業者である」「所有する複数の店舗・事業所が継続的に営業している」「補助事業完了後1年間で、年間総支給額または事業場内最低賃金を一定以上アップさせる計画を有し、従業員に表明させる」があります。「売上減少要件」と「複数店舗営業要件」を満たす事業者は限られますが、「賃上げ要件」はどの事業者でも達成可能であるため、なるべく押さえるようにしましょう。

公募は通年で行われ、複数回に分けて締切を設けています。尚、各回の締切は第1回21年5月12日、第2回21年7月7日、第3回21年9月8日、第4回21年11月10日、第5回22年1月12日、第6回22年3月9日となります。

申請は「Jグランツ」という補助金申請システムで行います。「GビズIDプライムアカウント」の取得は必須です。取得に3~4週間かかるため、申請を検討するのであれば早めに取得しておきましょう。

低感染リスク型ビジネス枠は「販路拡大と感染拡大防止を両立できる取組」であれば、店舗改装や機材購入等非常に幅広い経費が対象になるばかりでなく、感染拡大防止のための費用も計上できます。

コロナ禍の影響により多大な経済的ダメージを受けている小規模事業者は、ぜひ申請を検討してみてください。

※小規模事業者とは以下の条件に当てはまる事業者です。「宿泊業・娯楽業除く商業・サービス業=常時使用する従業員の数5人以下」「宿泊業・娯楽業=20人以下」「製造業その他=20人以下」。

また、財団法人、医療法人、宗教法人、学校法人、まだ開業していない創業予定者等、「企業」や「個人事業主」と認められない事業者は原則対象外となります。

    株式会社ナビット(https://www.navit-j.com/)
    東京都千代田区。「地下鉄乗り換え便利マップ」などを展開するコンテンツプロバイダー。地域特派員5万8100人の全国の主婦ネットワークにより、地域密着型の情報収集を得意とする。
    最新の情報は、助成金・補助金の検索サービス「助成金なう」へ
2021年04月29日付6面に掲載
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2018年12月25日 住宅産業新聞社 編集部

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