厚生労働省の助成金の中でも「キャリアアップ助成金」と並んで人気が高い「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)(以下、インターバル助成金)」が公募されています。時間外労働の削減等働き方改革に資する取り組みを行った上で、終業時間と始業時間に一定の休息時間を設ける制度(勤務間インターバル)を就業規則か労働協約に導入した場合、取り組みにかかった費用が助成されます。
昨年度の「時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」が改名され、要件もいくつか変更されました。今回はこの「インターバル助成金」の概要と今年度の変更点について解説します。
支給対象となるのは原則「勤務間インターバルを導入していない(以下、新規導入)」中小企業ですが、「9時間未満の勤務間インターバルを既に導入している(以下、時間延長)」または「9時間以上の勤務間インターバルを導入しているが対象労働者が半数以下である(以下、適用範囲拡大)」中小企業も対象になります。なお、今年度から「『年5日の年次有給休暇の確実な取得』を就業規則に盛り込んでいること」も要件となります。
2019年4月より改正労働基準法が施行され、年に10日以上の有休が付与される労働者に対して、毎年5日の有休を取得させなければならなくなりました。まだ上記の内容を就業規則に取り入れていない企業は、なるべく早く就業規則を改訂して労働局に届け出ましょう。
インターバル助成金では、インターバル制度を導入する前に、以下の取り組みを1つ以上行う必要があります。
(2)労働者に対する研修、周知・啓発
(3)外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など)によるコンサルティング
(4)就業規則・労使協定等の作成・変更
(5)人材確保に向けた取組
(6)労務管理用ソフトウェアの導入・更新
(7)労務管理用機器の導入・更新
(8)デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
(9)テレワーク用通信機器の導入・更新
(10)労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
以上、10つの項目があり、働き方改革になる幅広い取り組みが対象になります。そして、この取り組みを行った後、就業規則か労働協約に「9時間以上11時間未満」か「11時間以上」の勤務間インターバルを盛り込みます。
新規導入の場合は「9時間以上11時間未満」で上限80万円、「11時間以上」で上限100万円が助成されます。時間延長の場合は「9時間以上11時間未満」で上限40万円、「11時間以上」で上限50万円です。適用範囲拡大の場合は勤務間インターバルの対象労働者数が全体の半数を超えれば支給されます。助成額は、時間延長の場合と同じです。なお、どの場合も補助率は原則3/4です。ただし「常時使用する労働者数が30人以下の企業が上記取り組みの(6)~(10)(経費30万円超)を行った場合は、補助率が4/5に拡大します。
さらに今年度より従業員の賃金額の引き上げを行った場合、加算措置がされるようになりました。引き上げ率(3%か5%)と対象人数(30人まで)で加算額は変わり、30人の従業員の賃金を5%引き上げた場合、最大240万円が加算されます。つまり、新規導入の場合は合計で最大340万円を受給できることになります。
交付申請の締切は11月30日までですが、予算が尽き次第終了となります。大変人気があるため、なるべく早く申請することをおすすめします。
支給決定で「働き方改革支援コース」も
このインターバル助成金を申請して支給決定を受けると、「人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)」を申請することができます。
この助成金は、働き方改革によって減少した生産性を補うための人材確保を支援することを目的に設けられたもので、一定の期間内に従業員を新たに雇うと、1人当たり60万円(最大10人)が支給されます。新たな人材の確保を検討している方はこの助成金の申請も念頭に置いて「インターバル助成金」の申請に臨んだ方が良いでしょう。
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