注目の助成金(33)経営力向上計画の認定で3つの優遇

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経営力向上計画は前回解説した通り、中小企業の経営基盤強化・生産性向上のための事業計画です。この経営力向上計画が認定された企業は、設備投資や資金調達、事業承継などの活動がよりしやすくなるよう、(1)税制面での優遇(2)金融面での優遇(3)法律面での優遇を受けることができます。

今回はこの3つの優遇について解説していきます。

(1)税制面での優遇

中小企業が設備投資をしやすくなるよう、設備投資にかかった税金の一部が控除されます。経営力向上計画に沿って、一定期間内に機械装置の新規導入などの設備投資を行った場合、即時償却または取得価額の10%(資本金3千万円~1億円の法人は7%)の税額が控除されます。

また、土地・建物を取得する際にかかった登録免許税や不動産取得税も軽減されます。会社の合併・分割、事業承継をした場合、不動産の権利移転に関わる登録免許税や不動産取得税がかかります。その税金を軽減することによって、事業承継が容易になります。登録免許税については、通常の税率が5分の4から5分の1の範囲で引き下げられ、不動産取得税については不動産の価格の6分の1相当額が課税標準から控除されます。

(2)金融面での優遇

(1)日本政策金融公庫による低利融資(2)商工組合中央金庫による低利融資(3)中小企業信用保険法の特例(4)中小企業投資育成株式会社法の特例(5)日本政策金融公庫によるスタンドバイ・クレジット(6)中小企業基盤整備機構による債務保証(7)食品流通構造改善促進機構による債務保証――の7つで構成される金融支援を受けられます。この金融支援によって投資や資金調達がやりやすくなり、積極的な事業活動が可能になります。

なお、資本金規模や従業員数、業種によっては、受けられない金融支援もあります。中小企業庁のホームページからダウンロードできる「税制措置・金融支援活用の手引き」というPDFファイルに各支援を受けられる企業の要件が記載されているので、自社が受けられる金融支援を事前に確認しましょう。

(3)法律面での優遇

通常は事業譲渡をする際、許認可の再取得や債権者の同意など煩雑な手続きが必要になります。しかし、経営力向上計画に認定されれば、その諸手続きを簡素化することができます。具体的には、(1)業法に関する許認可の承継の特例(2)組合の発起人数に関する特例(3)事業譲渡の際の免責的債務引受に関する特例――の3つの特例措置を受けることができます。

(1)では、承継された側の企業は行政から再度許認可を得る必要なく、そのまま許認可事業を引き継ぐことができます。
(2)では、通常は最低4人必要である企業組合や協業組合などの発起人が3人でも可になります。
(3)では、通常は債務を引き継ぐ際に債権者から個別に同意を得なければいけないところを、企業が債権者に通知して1ヵ月以内に返事がなければ同意があったとみなすことができます。

ただし、この優遇の対象となる企業は「株式会社」である中小企業のみです。大企業はもちろん、有限会社や合同会社、特定非営利活動法人などはこの優遇を受けられません。また、この優遇を受けるためには、経営力向上計画に事業承継する旨を明記しておく必要があります。

事業継承者不足の解消も

上記のような優遇を実施する背景としては、中小企業のより積極的な事業活動を促進するだけでなく、不動産取得税の軽減や許認可の承継の特例のように、近年問題視されている少子高齢化による事業承継者不足を解消する狙いもあります。

また、経営力向上計画に認定されることの最大のメリットはさまざまな優遇を受けることではありません。最大のメリットは経営力向上計画の策定を通して、「わが社の経営課題は何か?」「どうすれば生産性が向上するのか?」といった現状把握・分析ができることです。経営力向上計画に記載することは、本来経営者として把握しなければならないことしかありません。

経営力向上計画は優遇を受けるために策定するのではなく、自社の経営状況を正確に把握し、有効な施策を打ち出すために策定するということを肝に銘じておきましょう。

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2018年12月25日 住宅産業新聞社 編集部

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