
全国の3千社近いJBN・全国工務店協会会員工務店が年間に供給する約3万棟の新築住宅のうち、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の比率は5%程度とみられる(ZEHビルダー未登録会員が供給しているZEHレベル住宅含む)。
今年度から「ZEHビルダー」登録が始まり、JBN会員が供給する住宅のZEH率アップは必須だ。同協会の青木宏之会長もZEHの実現に向けたチャレンジの支援を強力に推し進めることを表明している。一方で、JBN会員の中には早くからZEHに取り組んでいるトップランナーも存在する。
彼らはZEH委員会を組織し、業界よりも早い動きでZEH事例集も発刊済みだ。地域工務店にZEH施工を浸透させるには何が必要か、JBN・ZEH委員会の小山貴史委員長(エコワークス社長)に聞いた。
事例集はすでに完売
――JBN会員のZEH供給状況について
小山 各社でかなりの差があって、JBN会員の中には既に100%やっているところもある一方で、全然対応していないところもある。当社(エコワークス)では現在7割程度がZEHで、20年には95%を目指している。地域別では、太陽光発電のメリットが温暖地の方が大きいこともあり、ZEHは関東以南が圧倒的に多い。
――15年8月にZEH委員会を立ち上げ、11月には国に先駆けてZEH事例集「地域工務店のZEH仕様事例集」を発刊した。これは経済産業省・ZEHロードマップ検討委員会のとりまとめ(同年12月)よりも早いタイミングとなった
小山 同時にリリースできるよう制作していたが、検討委員会のとりまとめの公表が遅れ、JBNが先んじたかたち。ZEH事例集に掲載された工務店はトップランナーだ。我々の自負は、JBNのトップランナーは、ハウスメーカーが商品化する前からZEHの取り組みを始めていること。私が経産省・ZEHロードマップ委員会の委員でもあったことから、同委員会での情報を共有しながら対応を進めていた。
その一環であるZEH事例集は日本初の事例集となった。2千部印刷したが、会員以外からの購入もあり、すでに完売して、近く増刷することになっている。
この事例集で、ハウスメーカーだけではなく、技術力のある先導的な工務店には、一次エネルギー消費量計算も含めて十分に対応できる事例がたくさんあるということを、国の有識者や全国の工務店に知ってもらいたかった。
――ZEH委員会設立初年から意義ある活動となった
小山 経済産業省の省エネルギー小委員会は、ZEHについて、ハウスメーカーだけが5割やればいいという認識からスタートしている。しかしそれでは、国の施策はハウスメーカー寄りになってしまい、バランスを欠く。JBNとしては工務店グループも含めて住宅産業全体で目指していきたいと問題提起した。
――小山委員長は昨年12月、仏パリで開催されたCOP21(気候変動枠組条約第21回締約国会議)関連のビジネス会議に参加した
小山 私は日本気候リーダーズ・パートナーシップ(Japan―CLP)のツアーで参加した。会議には世界各国からおよそ500人のビジネスパーソンが参集した。その会議に出席したことで、地球温暖化対策の観点からZEHが進まないといけないことを再認識した。それが活動のベースとなっている。