
対策の軌道修正も
民間の予測では、2023年には空き家の総数が1400万戸、そのうち課題とする「その他空き家」は〝500万戸に達する見込み〟とするものもある中で、簡単に利活用可能な「その他空き家」が少ないことは、既存ストックの活用を中心に考えていた空き家対策の軌道修正を迫られるものであった。
同省が新たな住生活基本計画の骨子案「急増する空き家の活用・除却の推進」の中で示した対策案の1つが「良質な既存住宅ストックが住宅市場で流通し、空き家増加が抑制される流れの創出」だ。
これはリフォームされた既存住宅や質の高い新築住宅の供給が行われれば良質な既存ストックとなり、資産として住宅市場で流通し、空き家の発生自体を抑えることにつながるというもの。
前述の空き家の分析を裏返すと、耐震性のないその他空き家は136万戸あることになり、さらに1キロメートル以内のその他空き家の総数は約113万戸なことから、48万戸を引いた残り65万戸は簡単な手入れでは利活用ができず、有力な建て替え候補であり良質な新築住宅に代わり得る空き家といえそうだ。
単に既存ストックの活用という言葉だけを見てしまうと、新築住宅を供給する意味がないように受け取られがちだが、既存ストックを活用するには、高品質で良質な新築住宅の供給がすべての始まりであり、今後もその供給が重要であることに変わりはない。