新聞紙を主原料とするセルロースファイバー(CF)断熱材である「デコスファイバー」の製造・販売・施工を手掛けているデコス(山口県下関市、安成信次社長)は、今年4月からスタートした新築建築物の省エネ基準適合義務化により、「今後の断熱材は、『製品品質×施工品質×環境価値』という三位一体の総合力によって選ばれるようになる」とみている。
取締役企画部長であり東京OFFICEの田所憲一所長に断熱材市場の展望と同社の取り組みについて2回にわたって聞いた。
――省エネ基準の義務化に伴い、断熱材市場はどう変化するか。
田所 今年4月から、省エネ基準(断熱等級4)への適合が建築確認申請時の必須要件となった。これまでの「努力義務」という制度上のグレーゾーンは撤廃され、適合か否かという二択しか存在しない時代となったため、適合しない建物は違法建築と見なされ、是正や改修の対象となる。
――工務店は変化に対応ができるのか。
田所 現在市場に残っている地域工務店や設計事務所の多くは、既に等級4を超える性能を標準仕様としており、HEAT20のG2(断熱等級6)相当が標準仕様として浸透しつつあるので大きな混乱はないといえる。これからの断熱材市場は、制度対応から「付加価値競争」へと移行している中で、今後の断熱材は、「製品品質×施工品質×環境価値」という三位一体の総合力によって選ばれるようになる。