補助金の審査において、事業計画は主に以下3つのポイントで評価されることが多いです。すなわち、「事業の継続性」・「事業の収益性」・「資金調達の見込み」です。今回はこの3つのポイントが具体的にどのようなことを意味し、どのように事業計画に落とし込めばいいかについて説明します。
まず、「事業の収益性」について説明します。たとえば、創業系の補助金の場合、「事業の継続性」とは「予定していた販売先が確保できないなど計画どおりに進まない場合においても、事業が継続できるような対応が考えられていること」を意味しています。一般的に創業して3年以内に廃業する企業は約7割と言われています。つまり、補助金を投入したとしても廃業してしまっては補助金の効果というものがほとんど期待できません。
審査項目における「事業の継続性」は、「事業を継続させるために経営者はどこまで考えているのか?」を見るものとなります。
多くの経営者は、「これはいける」という確信があるから、新たな事業を開始します。しかし、その確信を自分のみが感じていて、「その新事業は市場性があるのか?」、「本当に事業として成り立つのか?」を第三者も理解していなければ意味がありません。データ、マーケティング、人脈、販路の確保など、事業が上手くいく根拠があっても、それら根拠を言語化・図式化して伝えなければ、投資する側も「この会社に投資すれば将来のリターンが期待できる」と確信はできません。「3年後もきちんと残っている3割の会社に入っている」ということを示す必要があります。つまり、「現状で想定できるリスクをすべて洗い出し、対応策をあらかじめ考えているのかどうか?」、「それでも起こってしまったリスクに対して、具体的にどう対処するのか?」をきちんと明記することが重要になってきます。
表記の仕方としては、想定されるリスクに番号をつけ、それぞれの番号に対応した対応策を書くことをおすすめします。また、起こってしまったリスクに対しても同様です。
第二に、「事業の収益性」について説明します。多くの補助金の事業計画では、「本当に売れるのか?」という疑問に答えることは非常に重要です。つまり、「顧客は誰なのか?」、「どの市場で勝負するのか?」を明確にすることで、商品・サービスに対して具体的な需要があることを表明する必要があります。
たとえば、新たな商品を既存市場に投入するケースを考えてみます。既に販売ルートがあって、顧客のニーズから新製品を開発した場合、売れる数の見込みもある程度立てられるでしょう。一方、まったく販売ルートがないところで、思いつきで製品を開発しても、それをどうやって売っていくのかわかりません。売上の見込みが立たなければ、収益を確保することは難しいです。限られた条件の中で収益性の見通しを立てるには、販売ルートがある他社と連携することも一つの選択となります。「確度の高い売上見込みを立てること」、これこそ「事業の収益性」となります。
第三に、「資金調達の見込み」について説明します。補助金によっては、実施期間に使うお金とそのお金をどうやって用意するのかを明記する欄が設けられている場合があります。そこでは資金調達の見込みを書きこむことになります。
たとえば、調達欄に金融機関からの借入1千万円と入れたとします。創業系の補助金であれば、「自己資金を3千万円位用意している」など、ローンを差し引いた個人の貯金が潤沢にあるのであれば、金融機関から1千万円の借入は、それほど無理はないです。しかし、自己資金が50万円しかない場合は、いきなり1千万円を金融機関が貸してくれるのは非現実的と言えます。また、経常利益が2期マイナスであり、年間の売上が500万しかないとしたら、金融機関が1千万円を貸してくれる可能性は著しく低くなります。そうした場合は他からの調達の可能性を探る必要があります。「資金調達の見込み」では、「会社や個人の体力に見合った調達なのかどうか?」と言うことも見られるので注意してください。
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