
5月27日から、今年度の大型補助金のひとつ、『IT導入補助金(正式名称は、平成30年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業)』の交付申請が開始されます。2次公募は7月中旬の開始予定です。同制度の活用を検討している人は、採択に向けた準備を始めましょう。
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者が業務効率や事業の生産性を改善するために、ITツールを導入する際の費用を補助するものです。19年度のIT導入補助金の予算は、2018年12月21日に経済産業省の18年度第2次補正予算が閣議決定され「100億円」となりました。なお、18年度予算は19年度予算の5倍の500億円でした。
予算が大幅に縮小されたのは、18年度の申請者数が想定より極めて少なかったためです。17年度のIT導入補助金が大好評だったことを受けて、18年度は予算を大幅に組み込みました。しかし、約10万社に補助金を交付する予定が6万社程度の交付にとどまり、予算も多く余ってしまいました。そのため、今年のIT導入補助金の予算は、17年度と同じ100億円に戻されたのです。
ただ、それでもIT導入補助金の意義が薄れた訳ではありません。IT導入補助金は、経理効率化の会計ソフト、顧客管理クラウドシステムなど、最新の優れたITツールの導入を支援し、補助事業者の生産性を向上させるのに大きな効果を発揮します。経済産業省や中小企業庁は、IT導入補助金によって、20年までにサービス産業の生産性伸び率2・0%を実現することを目標に掲げています。
IT導入補助金は全業種の中小企業及び小規模事業者が対象者となります。補助率は2分の1、補助上限額は450万円、補助下限額は40万円です。補助上限額は昨年の50万円より9倍に拡充され、下限額も昨年の15万円から3倍近く引き上げられており、より性能が高く規模が大きいITツールを導入できるようになりました。なお、予算は前年度の5分の1の100億円であるため、前年度より採択件数及び採択率は低くなることが想定されます。
IT導入補助金の交付申請を行う前段階として、「導入したいITツールの選定」、「ITツール導入後の事業計画の策定」、そして「SECURITY ACTION(中小企業が情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度への宣言)」が必要となります。まずは自社の業種や資本金規模、経営課題などに沿って、導入したいITツールを選定します。次に、ITツールを導入すればどれほどの効果が見込めるのか、目標設定して生産性向上を実現するための事業計画を策定します。そして、「SECURITY ACTION」のホームページ上でセキュリティ対策自己宣言を行わなければいけません。
ちなみに、IT導入補助金はITツールを導入したい事業者だけでなく、補助対象のITツールを販売したり各種申請等の手続きを代理したりする「ITツール支援事業者」も募集しています。IT導入補助金では、ITツール支援事業者が登録したITツールしか導入できません。
次回は「ITツールの選び方」や「採択事例の紹介」「IT導入補助金の加点項目」などについて紹介したいと思います。
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株式会社ナビット(https://www.navit-j.com/)
東京都千代田区。「地下鉄乗り換え便利マップ」などを展開するコンテンツプロバイダー。地域特派員5万8100人の全国の主婦ネットワークにより、地域密着型の情報収集を得意とする。
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