
野村総合研究所は、空き家の実態と有効活用に向けた課題を空き家率の予測やアンケート結果を踏まえて、中古住宅流通が進まなければ都市部でも住宅地の荒廃が進む懸念があるとの分析結果を8日に示した。
同研究所は、昨年9月に2023年までの空き家率を予測していたが、今回は2035年に空き家率が32・0%になると予測。2月に2013年住宅・土地統計調査の確報で都道府県別集計が公表されたことや空き家対策特別措置法が一部施行されたことから、「空き家の実態や所有者の意向がどうなっているのか、アンケートを実施」(経営革新コンサルティング部・榊原氏)した。
空き家の47%は活用可能性が高いが、活用ポテンシャルが高くても中古住宅流通が低調な地域が多く、また、空き者所有者の48%は空き家を活用せず放置しており、今後は東京圏の空き家を所有するケースが一層増えると見込んでる。
空き家問題は深刻化する
同研究所の空き家率予測によれば、除却・減築や住宅以外としての有効活用が進まなければ、13年に13・5%だった全国の空き家率は上昇を続け、23年に21・0%、28年に25・5%、33年に30・2%、35年に32・0%に拡大するとした。今年3月に公表された富士通総研による空き家率の予想でも33年に28・5%に上昇すると分析。今後20年以内に3軒に1軒近くが空き家になるとの認識が広がっており、「(現状のままでは)空き家問題は今後深刻になる」(同)とみている。
同研究所は、今年2月23日~25日に空き家所有者にインターネットでアンケート調査を実施。現在居住している住宅以外に不動産資産を所有しており、その不動産資産が空き家である427人を対象にアンケートした。年代で最も多かったのは60代以上の43%、次いで50代の36%となり、空き家所有者は50代以上が約8割を占めている。