2011年3月11日の東日本大震災は、日本の住宅のあり様を一変させたといっていい。家庭の電力供給の基幹となりつつあった原子力発電所は、福島の事故以来軒並み休止し一部で再稼働の動きもあるが見通しは立たない。その中で、スポットが当たってきたのが家庭の省エネルギー化といえる。
家庭の省エネを進める上での重要な要素が暖冷房。家庭のエネルギー消費の約3割を占めることから、効率的な機器の使い方のほか省エネ性能の高い機器を選択することで、省エネが推進できる。
また、住宅構造そのものを省エネルギー性の高い躯体にすることで、より大きな効果が得られる。
「断熱」「日射遮蔽」「気密」に注目
省エネ住宅は、エネルギーの消費を抑えるだけではなく、冬場は室内の温かい空気を室外に逃がさず、逆に夏には室外の熱が室内に入らない住まい。そのために重要なのが「断熱」と「日射遮蔽」、「気密」の3つの要素となる。
断熱とは、壁、床、屋根裏、窓などを通しての住宅の内外の熱の移動を少なくすること。基本的には、家全体を断熱材ですっぽり包み込むことで性能は高まる。ちなみに、住宅の断熱性能は「外皮平均熱貫流率」(UA値)で示される。
UA値が小さいほど高性能
住宅の外皮(床、壁、窓など外気と接している各部位)から逃げる熱損失を合計し、外皮面積で割って求める。数値が小さいほど省エネ性能が優れているため、住宅展示場のモデルハウスやカタログで確認してみるのもいい。
冬の暖房時に室内に逃げ出す熱の約5割、夏の冷房時に室外から侵入する熱の約7割は窓などの開口部から。窓ガラスを複層タイプやトリプル(三重)ガラスにしたり、窓枠もアルミだけでなく、木や樹脂を使った断熱サッシにすることで効果が高まる。