高気密・高断熱の住宅をベースに全館空調を実施することで健康・快適な生活を目指すシステムが注目を集めている。
日本の夏は高温多湿であり、近年は各地において猛暑日が増加しているため、屋外だけではなく室内でも熱中症が発生している。
そのような環境でも1台のエアコンで家全体の温度を均一にして、快適に過ごせると言われているのが全館空調。住居内の温度差によるストレスも減少することをはじめ、カビやダニなどによる健康被害の軽減、結露などによる構造材の劣化も防げるという全館空調だが、今後、住宅設備として一般的なものとなるのだろうか。
YUCACOシステムで温室のバラツキを防止=大和住建
ヤマト住建(兵庫県神戸市、中川泰社長)は3月、群馬県太田市に全館空調システムであるYUCACO(ユカコ)システムを搭載したZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)対応のモデルハウスをオープンした。
YUCACOシステムとは、住宅など小規模の床下空間を利用した全館空調システム。
基本概念はエアコン1台で、高気密・高断熱な住宅に適応させる。2階建て住宅の場合、2階に空調室を設け、そこで冷やされた空気(冬場は暖められた空気)を送るため、ファンを複数台設置。それによって各部屋に空気を循環させる。空気の吹き出し口は、2階の場合は天井から、1階の場合床下から緩やかな空気の流れを作ることができる。
ほかのシステムとの差別化について、「大前提として高気密・高断熱の建物において、必要熱量が少量で済む。いかに
建物の中で空気のバラツキをなくし均一になるよう、住居内をかき混ぜてあげるかを主眼においたシステムです」(ヤマト住建企画開発部・藤林貴則次長)。