
クロス・ラミネーティッド・ティンバー(CLT、JAS上の名称は直交集成板)構法が2016年、オープン化される。現在は規定がない建築基準法に関するCLTの基準強度告示と一般的な設計法告示が、同年秋までに定められるからだ。背景には地方創生で国内林産業の活性化を目指す国の意志がある。このため国はTPP対応で現行3・9%のCLT関税を段階的に引き下げ9年後の24年以降までに撤廃させることと並行し、国内CLT産業育成として昨年11月公表のCLT普及ロードマップ「24年度までに国内のCLT年間生産力を現状の1万立方メートルから50倍の50万立方メートルに引き上げ、メーカー出し価格を現在の1立方メートルあたり14~15万円から半額の7~8万円に圧縮させる」実現策を今後本格化するとみられる。だが、生産と消費は同じ軸の両輪。地方の経済再生に役立つまでCLTの消費量を増やすには、林産業サイドのコスト削減努力に加え、需要の裾野の広い住宅分野での用途開発や製品単体ではなく建物全体としてのコスト提案力といった消費者側に立った視点の取り組みが欠かせない。「オープン化元年」を控える国内CLTの現状と展望を取材した。