注目の助成金(78)事業再構築補助金公募が開始
2021年3月、中小企業庁の超大型補助金「事業再構築補助金(正式名称=中小企業等事業再構築促進事業」が公募開始する予定です。
こちらはコロナ禍の影響により売上が減少した中小企業や小規模事業者等に対して、新分野進出や業態転換等の取組費用を最大1億円まで補助するものです。今回はこの事業再構築補助金について解説します(21年2月15日時点での情報となります)。
まず申請対象者の要件ですが、「申請前の直近6ヵ月間のうち、任意の3ヵ月の合計売上高が、19年及び20年1~3月の同3ヵ月の合計売上高と比較して10%以上減少している」ことが大前提となります。また、事業計画の策定は認定経営革新等支援機関という国公認の中小企業支援機関の協力が必要となります。さらに補助事業終了後3~5年以内に、「従業員1人当たり付加価値額の年率平均3.0%(同上5.0%)以上増加」または「付加価値額(売上高から原材料費・燃料費・減価償却費等を差し引いた額)の年率平均3.0%(グローバルV字回復枠は5.0%)以上増加」の達成を見込む事業計画を策定しなければなりません。
補助額は、中小企業の場合「通常枠(補助額100万円~6千万円、補助率2/3)、「卒業枠(補助額6千万円超~1億円、補助率2/3)」となります。「卒業枠」とは、事業計画期間内に(1)組織再編(2)新規設備投資(3)グローバル展開のいずれかに取り組み、中小企業から中堅企業へ成長する予定の事業者向けの特別枠であり、400社限定となります。
また中堅企業の場合、「通常枠=補助額100万円~8千万円、補助率1/2(4千万円超は1/3)」、「グローバルV字回復枠=補助額 8千万円超~1億円、補助率1/2」となります。後者は「(1)直前6ヵ月間のうち任意の3ヵ月の合計売上高がコロナ以前の同3ヵ月の合計売上高と比較して、15%以上減少している」、「(2)補助事業終了後3~5年で付加価値額又は従業員1人当たり付加価値額の年率5.0%以上増加の達成を見込む事業計画を策定する」、「(3)グローバル展開を果たす事業である」という要件をすべて満たした中堅企業を対象とした特別枠であり、100社限定となります。
また、中小企業等向けに「緊急事態宣言特別枠」が設けられます。対象事業者となるには、通常の申請要件を満たし、且つ緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等の影響により、令和3年1~3月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比30%以上減少していることが必要です。
補助率は引き上げられ、中小企業は3/4、中堅企業は2/3となります。尚、補助額は「通常枠」より減少し、従業員5人以下は100万円~500万円、6~20人は100万円~1千万円、21人以上は100万円~1500万円となります。尚、この特別枠で不採択となったとしても、通常枠で加点の上、再審査されるとのことです。
対象経費については、設備投資費用がメインとなりますが、それ以外に建物の建設費・改修費・撤去費、システム購入費も補助対象となります。さらに新規事業に必要な研修費、広告宣伝費・販売促進費も対象となります。しかし、人件費や旅費、パソコン、スマートフォン、販売する商品の原材料費、光熱水費等、補助対象事業のためと判断しにくい経費については対象外となります。
対象経費は交付決定後に支払ったもののみ。しかし、公募開始後に事前着手申請を提出して承認された場合は、2月15日以降に支払った経費が補助対象とのことです。ただし、対象経費に関する入札・相見積が必要となるだけでなく、申請が不採択となる場合もあります。
補助金は、1年程度の補助対象事業を完了した後に支払われます。また補助対象事業が終了しても、5年間は経営状況等について年次報告しなければなりません。購入した対象経費の厳格な管理も求められます。
申請は全て電子申請となるため、「GビズIDプライムアカウント」が必要です。このアカウントの発行は申請してからおよそ2週間程度かかるため、申請を検討する場合はなるべく早く発行手続きにとりかかることをおすすめします。
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株式会社ナビット(https://www.navit-j.com/)
東京都千代田区。「地下鉄乗り換え便利マップ」などを展開するコンテンツプロバイダー。地域特派員5万8100人の全国の主婦ネットワークにより、地域密着型の情報収集を得意とする。
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