
助成金や補助金の申請の際は、中小企業診断士や社会保険労務士などの士業の専門家に依頼するケースがほとんどになります。その際に発生する費用の計算で面倒になるのが、源泉徴収です。「どのケースで源泉徴収が必要になるのか?」「源泉徴収額はいくらになるのか?」――など、こまごまとした計算が必要になります。今回は、士業の源泉徴収について、詳しく解説します。
事業者や経理の方であればご存知でしょうが、そもそも源泉徴収とは何なのか、うまく説明できない方も少なくありません。
源泉徴収とは、年間の所得にかかる所得税を給与から差し引くことです。事業者が従業員に給与を支払う際は、必ず行わなければなりません。従業員が確定申告をしなくてもいいのは、事業者の源泉徴収によって、給与の一部が所得税として納められているからです。源泉徴収は従業員の給与だけでなく、賞与や退職金に対しても行われます。
そして、意外に知られていないことですが、実は社会保険労務士や税理士などの専門家に対して報酬や料金を支払う際も、源泉徴収が必要となることがあるのです。
助成金・補助金の申請に際して、中小企業診断士や社会保険労務士の先生に依頼したとします。その報酬を支払った際、源泉徴収が必要になるかどうかは、以下2つのケースで分かれます。
(1)専門家個人に報酬を支払う場合
「支払金額から所得税及び復興特別所得税の源泉徴収を控除します。顧問の弁護士、税理士、社会保険労務士も同様になります」
(2)専門家個人ではなく所属する法人に報酬を支払う場合
「源泉徴収は必要ありません」
また、消費税が加算されている場合、報酬と消費税が明確に区分されているのであれば、報酬分のみ源泉徴収を行います。区分されていない場合はまとめて源泉徴収されます。ちなみに、この考え方は交通費にも適用されます。
源泉徴収額の計算方法は、その報酬の金額によって変わります。
(1)支払金額が100万円以下の場合
「源泉徴収額は10.21%となります」
(2)支払金額が100万円を超える場合
「100万円を超える部分に関しては、20.42%となります」
例えば150万円の報酬だった場合、100万円と残り50万円を分けて計算します。100万円に対しては10.21%なので10万2100円、残り50万円に対しては20.42%のため10万2100円、あわせて20万4200円の源泉徴収額となります。
専門家に報酬を支払った場合、その支払先が専門家個人か、専門家が所属する法人かで、源泉徴収するかどうかが変わります。また、源泉徴収の計算方法も専門家に支払った報酬額によって変わります。経理などの専門の担当者がいない事業者様は特に注意しましょう。
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株式会社ナビット
東京都千代田区。「地下鉄乗り換え便利マップ」などを展開するコンテンツプロバイダー。地域特派員5万8100人の全国の主婦ネットワークにより、地域密着型の情報収集を得意とする。 https://www.navit-j.com/
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