
断熱材のうち、トップランナー制度の対象となった建材は「グラスウール断熱材」、「ロックウール断熱材」、「押出法ポリスチレンフォーム断熱材」の3種類。JISなどの技術的な評価方法が確立していない製品や市場シェアが極度に小さい製品は、トップランナー制度の対象範囲から除外されている。
市場シェア約5割を占めるグラスウールの22年度の目標基準値(熱伝導率・単位はワット/メートルK)は0・04156、ロックウールは0・03781に設定された。目標基準値を達成した場合の性能改善率は6%程度(ロックウールは0・50%)となる。
断熱材の性能向上手法は、製造設備の改良や材質の改善などに限られる。グラスウールやロックウールなどの繊維系断熱材の場合は製造工程上、炉を稼働し続ける必要があり、5~10年に一度の製造設備の大規模修繕などに合わせて、繊維質の改善や高密度化などが想定される。
さらに、トップランナー制度の対象となった断熱材の断熱性能向上を呼び水に、性能向上の流れが断熱材業界全体に波及する可能性もある。
20年の省エネ基準の義務化に向けて、省エネ基準の適合には断熱材が欠かせない。住宅供給事業者にとって、より高性能な断熱材の普及は省エネ基準適合への追い風にもなる。トップランナー制度の導入や省エネ基準義務化などを背景に、住宅産業界では断熱材の存在感が増しつつある。