
ポラスグループ(埼玉県越谷市、中内晃次郎代表)の分譲住宅事業は、4月度から11月度の契約棟数が前年同期比で126%を示すなど好調に推移した。その背景の一つには、ユーザーが住宅探しの手段としてスマートフォンを使用するケースが多くなったことへの対応をはじめ、営業担当者の業務効率化を図るために、モデルハウスの見学予約状況を可視化したことにある。新型コロナウイルスの感染拡大によりユーザーがなるべく三密を避けたいという心理もあり、こうした取り組みが評価されたことが結果として受注につながったとみている。
ポラスグループによると、今年1年間で同社ホームページサイトにアクセスしたユーザー数は、スマホなどのモバイルからが約67万7千件だったのに対してパソコンからは約14万4千件。いずれも前年比からみて大幅に伸長した結果となっているが、「なかでもスマホからの閲覧者の伸びは著しい」(コミュニケーション部・伊藤賀一部長)という。
同グループでは、2011年11月からスマホサイトを公開しているが、社会的にもスマホ保有率がパソコンを上回った17年以降は「スマホからの集客は増加傾向にあった」(伊藤部長)とみており、特に最近は20歳代の購入者も増えていることもあって、「スマホユーザーを取り込むことは必要不可欠」と考えていた。
一般的にパソコンの画面表示をそのままスマホで見た場合、パソコンが横画面なのに対してスマホは縦画面なので、横写真を掲載する場合は画像が小さくなることがあった。そのためにも「スマホ対応」が必要となるのだ。また一次取得者層といわれる20歳代~30歳代の多くはスマホになじみがある世代のため、仮に自宅にパソコンがあったとしてもスマホで検索するケースが多いという。
そういった背景を受けて、「消費者が検索する手段が変わってきているので、そこに特化したうえで、さらに見やすくしていかなければユーザーには受け入れてもらえない」(伊藤部長)ということもあり同グループでは、スマホでの見せ方を意図的に変えるといった工夫を凝らしてきた。
今回にコロナ禍における外出自粛などにより、スマホを利用して住宅を検索するケースが多かったが、そういった状況にいち早く対応してきたことが受注につながったと考えている。
さらに、19年12月ころからホームページ上で分譲住宅のモデルハウスの見学予約状況を可視化。その後、グループの分譲事業に展開し、5月の大型連休前後にはグループ全社で可視化を行うようになった。
同社では見学予約の推進は、(1)モデルハウスに効率よく営業担当者を配置(2)見学者のバッティングも防ぐ(3)来場者に集中して接客ができる――といったメリットがあるほか、コロナ禍においては〝三密〟を嫌う検討者の安心・安全も担保できるようになったとみている。
同グループでは今後も、こうした取り組みに注力していく考えであり、ホームページ改訂や担当者の育成などにも取り組んでいく考えだ。