省エネの大型設備の導入費用を億単位の規模で支援する、経済産業省の省エネ補助金(省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金、省エネルギー投資促進支援事業費補助金)が今年も始まりました。
公募期間は27日から4月22日の26日間です。今回も最大15億円が補助され、従来の「工場・事業場型」や「設備単位型」の他に、「電化・脱炭素燃転型」が新設されます。それではそれぞれのメニューについて詳しく要項をみてみましょう。
「工場・事業場型」は、機械設計がともなう設備、事業者の使用目的にあわせて設計・製造する設備について、工場・事業場全体で導入する場合の費用を補助します。「先進設備・システムの導入」と「オーダーメイド型設備の導入」の2パターンにわかれます。
前者の場合、「(1)省エネ率+非化石割合増加率=30%以上」、「(2)省エネ量+非化石使用量=1千キロリットル以上」、「(3)エネルギー消費原単位改善率=15%以上」という要件を満たす設備を導入すると、年度につき最大15億円補助されます(事業全体で30億円)。補助率は中小企業2/3、大企業1/2です。
後者の場合、「(1)省エネ率+非化石割合増加率=10%以上、「(2)省エネ量+非化石使用量=700キロリットル以上」、「(3)エネルギー消費原単位改善率=7%以上」という要件を満たせば、年度につき最大15億円です(事業全体で20億円)。補助率は中小企業が1/2、大企業が1/3となります。
どちらの場合でも下限は100万円です。また、化石燃料を使わない設備へ転換した場合、補助上限額が増加します。
「電化・脱炭素燃転型」は今回から新しく設けられました。化石燃料から電気への転換やより低炭素な燃料への転換等を伴う設備等の導入を支援します。設備は事務局で登録されたものだけが対象となり、(1)産業ヒートポンプ、(2)業務用ヒートポンプ給湯器、(3)低炭素工業炉、(4)高効率コージェネレーション、(5)高性能ボイラから選択します。
補助率は1/2で、年度につき最大3億円が補助されます(事業全体でも3億円)。下限は30万円となります。なお、電化を伴う設備の更新であれば、補助額は5億円にアップします。
「設備単位型」は補助対象設備として登録及び公表した指定の省エネ設備を導入した場合の費用を補助します。対象設備は、(1)高効率空調、(2)産業ヒートポンプ、(3)業務用給湯器、(4)高性能ボイラ、(5)高効率コージェネレーション、(6)低炭素工業炉、(7)変圧器、(8)冷凍冷蔵設備、(9)産業用モータ、(10)制御機能付きLED照明器具、(11)工作機械、(12)プラスチック加工機械、(13)プレス機械、(14)印刷機械、(15)ダイカストマシンとなります。
補助額は補助率1/3、年度につき最大1億円となります(事業全体でも1億円)。他の型と異なり、上限額も補助率も低いですが、指定の設備を導入するだけで済み、複雑な省エネ要件を要さないため、投資予定額が小さく、かつ申請書類を用意する手間がない場合は、こちらでの申請を検討しましょう。
「エネルギー需要最適化型」はEMS(エネルギーマネジメントシステム)の導入を支援する型です。EMSとは、具体的にはエネルギーの使用状況を可視化するとともに、機器の稼働をコントロールすることでエネルギー運用を最適化するシステムです。
EMS導入による省エネ、及び省エネ診断等による運用改善による省エネによって、原油換算量ベースで省エネルギー率2%以上を満たすことが要件となります。
補助率は中小企業1/2、大企業1/3で、上限額は年度につき1億円です(事業全体でも1億円)。また、下限は100万円です。
本補助金はどれくらい省エネできるか等の計算が必要で、申請にはものづくり補助金以上の手間を要します。しかし、億単位の補助金を受給できるチャンスなので、大規模な設備投資を予定している方は本補助金の申請を検討してみましょう。
記事をシェアする
こんな記事も読まれています
最近の連載
- 注目の助成金(208)最大5億円の中小企業成長加速助成金
- 注目の助成金(207)補助金で販路開拓全般を支援
- 注目の助成金(206)事業計画作成に便利なSWOT分析
- 注目の助成金(205)補助上限額が大幅アップ!「ものづくり補助金」の公募開始
- 注目の助成金(204)「不正受給」とみなされてしまうケースとは?
- 注目の助成金(203)オーダーメイド設備が対象の「中小企業省力化投資補助金(一般型)」
- 注目の助成金(202)「企業・会社」だけじゃない!補助金を申請できる法人とは?
- 注目の助成金(201)採択後もやることはたくさん 重要な3つの手続き・報告とは
- 注目の助成金(200)事業再構築補助金の最終公募が開始
- 注目の助成金(199)2つの新設補助金の概要が公表