
ものづくり補助金の10次締切が2月16日に公募を開始しました。今までと比べて、補助上限額が従業員数で異なったり特別枠が新設されたりするなど、要件が大幅に変更されています。前回もご紹介しましたが、改めて最新のものづくり補助金について詳しくご紹介します。
今までのものづくり補助金は従業員数を問わず、補助上限額1千万円でした。しかし今回から従業員数によって上限額が異なります。
従業員5人以下は750万円、従業員6~20人は1千万円、従業員21人以上は1250万円までとなります。補助率は前回と変わらず中小企業2分の1、小規模事業者3分の2となります。なお、対象事業者ですが、中小企業・小規模事業者の他に特定事業者の一部、再生事業者が加わります。
「特定事業者の一部」は「資本金の額又は出資の総額が10億円未満」かつ「製造業・建設業・運輸業・その他の業種=500人/卸売業=400人/ソフトウェア・情報処理サービス・旅館業を除くサービス業・小売業=300人以下」を満たす事業者であり、中小企業の定義に当てはまらない中堅企業でも申請できます。「再生事業者」とは中小企業再生支援協議会等から支援を受けた事業者で、補助率は3分の2にアップします。
対象経費に大幅な変更はなく、新規事業の設備投資であれば機械・システムの経費はもちろん、専門家に支払うコンサル費用、デザイン設計の外注費、特許取得に必要な経費等も含まれます。ただし税抜単価50万円以上の設備投資がマストとなります。申請方法も前回と同じく原則オンライン申請となり、「GビズIDプライム」というアカウントを利用します。このアカウントの取得自体は無料ですが、申請してから取得するのに2~4週間かかるため、早めに取得しておきましょう。
10次締切は5月11日午後5時締切となります。それ以降は2~3ヵ月単位で締切が設けられる形で、通年公募される予定です。申請してから補助金を受給するまで少なくとも1年はかかりますが、それまでの経費はすべて持ち出しとなります。つなぎの資金を確保しておきましょう。
今までのものづくり補助金の採択率は、おおよそ40~60%を推移しており、10次締切も同じような採択率となると想定されます。また、加点項目として前回と同じく経営革新計画や事業継続力強化計画の策定があります。これらを策定すれば審査の際の加点だけでなく、対象設備を補助金だけでなく公的金融機関の低金利融資で補うこともできます。
また、中小企業が設備投資を通じて生産性向上するための事業計画「先端設備等導入計画」は経営革新計画と異なり、ものづくり補助金の加点となるわけではありませんが、設備に関する固定資産税が3年間実質ゼロになります。大規模な設備投資を検討している場合は併せて申請することをおすすめします。なお、この固定資産税の優遇措置は市町村単位で実施するかどうかの決定がなされるため、所在の市町村のHPを事前に確認しておきましょう。
今までご紹介したのはものづくり補助金の「通常枠」ですが、他にも「特別枠」があります。通常枠が最も申請の難易度が低いですが、特別枠で申請すれば受給額がアップしたり優先的に採択されたりします。特別枠には業況が厳しい事業者向けの「回復型賃上げ・雇用拡大枠」、DX関連の新規事業を支援する「デジタル枠」、脱炭素化につながる新規事業を支援する「グリーン枠」があります。
ものづくり補助金の申請を検討している方は公募要項を読み込み、どの枠で申請できるのか、他にどんな条件があるのか等をしっかり確認しましょう。
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株式会社ナビット(https://www.navit-j.com/)
東京都千代田区。「地下鉄乗り換え便利マップ」などを展開するコンテンツプロバイダー。地域特派員5万8100人の全国の主婦ネットワークにより、地域密着型の情報収集を得意とする。
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