注目の助成金(80)IT導入補助金の最新情報
中小企業庁のIT導入補助金は生産性向上・業務効率化に資するITツールの導入を支援する最も人気が高い補助金の1つです。2021年4月、IT導入補助金の交付申請受付が新たに開始する予定です。今年も複数回の締切を設け、通年で公募する形となります。
そこで今回はIT導入補助金の最新情報について紹介します。
今回のIT導入補助金では従来のA類型(補助額30万~150万円未満、補助率1/2)・B類型(補助額150万~450万円以下、補助率1/2)の他に、C類型(補助額30万~450万円以下、補助率2/3)、D類型(補助額30万~150万円以下、補助率2/3が新設されました。
まず、「通常枠」のA・B類型について説明します。
A・B類型は前年度とほとんど変化はありません。導入するITツールが持つ業務プロセス(ITツールにより生産性が向上するプロセス)の数に応じて、A類型(1プロセス以上)かB類型(4プロセス以上)に分かれます。
A類型では賃上げ要件(3年の事業計画期間内に、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させ、及び事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする)が審査の際の加点となりますが、B類型では達成必須です。達成できなかった場合、補助額の返還を求められる可能性があります。
次にC・D類型について詳しく見ていきます。
C・D類型は「低感染リスク型ビジネス枠」という特別枠であり、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業による非対面型ビジネスやテレワーク導入を支援します。また、業務プロセスの数はどちらも2プロセス以上です。
主な取組事例としては店頭販売だった洋服屋がオンラインショップを立ち上げたり、不動産屋がビデオ通話を用いたオンライン内見を実施したりする等が考えられます。
通常枠(A類型・B類型)と同じく、ソフトウェアパッケージ、1年分のクラウド利用料、初期設定費・カスタマイズ費が対象経費となりますが、それに加えてパソコンやタブレット、スマートフォンと言ったハードウェアのレンタル費用(1年分)も対象となります。
またハードウェアに付随して、WEBカメラ、マイク、ルーター、プリンター、ディスプレイのレンタルも対象になります。
尚、ハードウェアのレンタル費用のみで申請することはできません。
C類型(低感染リスク型ビジネス類型)は複数の業務システムを連携させ、非対面化・生産性向上を図るITツールの導入を支援します。たとえば「遠隔注文システムとキャッシュレス決済を導入することで、従業員と顧客のオンライン上での接客体制を確立する」という事例が考えられます。
申請する補助額によってC-1類型(補助額30万~300万円未満)とC-2類型(補助額300万~450万円以下)に分かれます。C-1類型では賃上げ要件は審査の際の加点となり、C-2類型は達成必須となります。
D類型(テレワーク対応類型)は業務を非対面化及びクラウド化することで、遠隔地での業務・生産性向上を可能にするITツールの導入を支援します。
たとえば「全国各地の従業員が同じファイルを見ることができるようクラウド化する」等の事例が考えられます。尚、D類型では賃上げ要件は加点となります。
IT導入補助金の申請はすべてオンラインで行うため、事前にgBizIDプライムアカウントを取得しておくことが必要です。また、過去3年間にIT導入補助金の交付を受けていた場合、審査の減点対象となります。一方、加点項目としては、賃上げ要件(A類型、C-2類型、D類型)の他に、「地域経済索引事業計画の承認」「クラウド製品を導入すること」等があります。
申請を検討している方は公募要項をしっかり読み込み、万全の態勢を整えましょう!
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株式会社ナビット(https://www.navit-j.com/)
東京都千代田区。「地下鉄乗り換え便利マップ」などを展開するコンテンツプロバイダー。地域特派員5万8100人の全国の主婦ネットワークにより、地域密着型の情報収集を得意とする。
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最新の情報は、助成金・補助金の検索サービス「助成金なう」へ
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