
働き方改革に関する助成金として特に有名な東京都の「働き方改革宣言奨励金」は、実際に働き方改革をしなくても「働き方改革をします」と宣言するだけで定額30万円が支給されます。本社が都内になくても支社が都内にあれば申請できるということもあって、多くの企業に人気があり、事前エントリーでの抽選が定期的に行われています。
そして、この「事前エントリーによる抽選制だが取り組みは簡単」タイプの東京都の働き方改革系助成金は「働き方改革宣言」以外にもいくつか公募されています。そこで今回は、支社でも申請可能な東京都の助成金についてご紹介します。
(1)働き方改革宣言奨励金
「働き方改革宣言奨励金」は、都内で事業を営んでおり、かつ6ヵ月以上継続雇用する都内の労働者が2人以上いれば、中小企業だけでなく、支社・支店、個人事業主、NPO法人、医療法人など幅広い法人が申請できます(後述する他の助成金も原則同じ要件です)。定期的に行われる事前エントリーでの抽選に受かった後、交付申請をする必要があります。また、その交付申請をするまでに指定の事前講習を受けなくてはなりません。その後、(1)長時間労働の削減、年次有給休暇等の取得促進に向けた問題点の抽出(2)原因分析及び対策の方向の検討(3)目標及び取組内容の設定(働き方改革宣言書の作成)(4)社内周知――を実施します。
実績報告書、社内周知を実施したことが分かるもの等の書類を提出して、適正と認められたら定額30万円が支給されます(事前エントリー→交付申請→取組実施→実績報告という流れは、後述の助成金も原則変わりません)。なお、宣言した内容が達成できなくても、助成金を返還する必要がありません。
また、フレックスタイムや週休3日制度等を導入すると、最大70万円を受給できます。
(2)ボランティア休暇制度整備助成金
就業規則等にボランティア休暇制度を盛り込み整備した場合、定額20万円が支給されます。当初は東京オリンピックでのボランティア活動を想定していましたが、現在はボランティアについて指定はありません。ただし、スポーツ大会に関するボランティアであることは必須要件です。また、休暇取得の際の賃金は有給・無給を問いませんが、年次有給休暇とは異なる休暇として取り扱わなければなりません。
実績報告の際、ボランティア休暇制度を盛り込んだ就業規則も提出する必要がありますが、事前に労働基準監督署への届出をしておかないと受理されません(就業規則については後述の助成金も同じです)。
また、働き方改革宣言奨励金においてボランティア休暇制度の整備をしなかった場合は両者の併給が可能です。
(3)育児・介護からのジョブリターン制度整備奨励金
育児、介護、結婚、配偶者の転勤等を理由として退職を余儀なくされた労働者が前職場に復帰することができる制度(ジョブリターン制度)を就業規則等に盛り込み、社内外に周知すると定額20万円が支給されます。
「働き方改革宣言」と「ボランティア休暇制度」、後述の「働きやすい職場環境づくり推進奨励金」では、条件を満たせば交付申請時に提出することになる「6ヵ月以上継続雇用する都内の労働者2人分の労働契約書または労働条件通知書」ですが、「ジョブリターン」では必ず提出することになっています。
どの助成金も細かいところで要件が異なっているため、各助成金の公募要項をしっかり読み込むことは必須です。
(4)働きやすい職場環境づくり推進奨励金
育児・介護・病気治療の両立支援、及び非正規労働者の処遇改善に関する制度を就業規則等に盛り込むと、最大100万円が支給されます。「『非正規労働者の処遇改善制度の整備』の実施期間は4ヵ月ですが、『両立支援制度の整備』の実施期間は3ヵ月」「男性の育児支援をする場合は都内の男性従業員が1人以上いることが要件」等整備する制度によって要件が微妙に変わるため注意が必要です。
新型コロナ終息後の経営も見据えて、是非チャレンジしてみてください。
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