注目の助成金(189)本当に中小企業ですか?大企業との違いとは

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ご存知の通り、ほとんどの補助金は中小企業のみが申請できるタイプとなります。潤沢な予算がある大企業と異なり、中小企業は予算が少なく、大規模な設備投資を控える傾向にあります。そこで国や自治体は、中小企業に積極的に設備投資してもらうために、中小企業のみを対象とした補助金を多く公募しているのです。ところで、「大企業」や「中小企業」は何をもって判断するのでしょうか? 今回は中小企業の定義についておさらいをします。

中小企業庁の公式HPによると、中小企業かどうかは「資本金または出資総額」または「常時使用する従業員数」によって決まります。その数は業種によって異なり、図の通りとなります。資本金または従業員数のどちらかが条件を満たしていれば、「中小企業」となります。極端な例で言うと、「資本金1千億円、従業員数50人の製造業」でも「中小企業」とみなされることになります。

なお、「常時使用する従業員」とは「予め解雇の予告を必要とする者」とされています。つまり、「長期間雇用する予定の労働者」を意味し、雇用期間が短い日日雇い入れられる者(日雇労働者)や試用期間の者、労働者ではない会社役員はカウントの対象外となります。たとえば、「資本金1億円、従業員数110人のサービス業」であれば、一見「大企業」となります。しかし、実はその110人に会社役員や日雇労働者が10人以上含まれているとすると、その人数を差し引けば「中小企業」になります。従業員数が多い企業は従業員のカウントに特に注意が必要です。

複数の業種に該当する事業者の場合、メーンとなっている事業に関する業種が該当します。たとえば、住宅の建設を行うだけでなく、不動産売買もしている事業者は建設業・不動産業に該当します。各業種に係る事業の営業収益や従業員数などを総合的に見て、不動産売買が住宅の建設よりウェートが大きい場合、「不動産業=サービス業」とみなされます。つまり、資本金5千万円以下か従業員数100人以下でなければ「中小企業」とはなりません。

ちなみに、中小企業の他に「小規模企業者」や「中堅企業」という概念があります。

小規模企業者は中小企業よりも常時使用する従業員数が少ない企業を指し、中小企業が申請できる補助金は小規模事業者でも申請できます。卸売業・サービス業・小売業は従業員数5人以下、それ以外の業種は20人以下という条件があります。「小規模事業者持続化補助金」のように小規模企業者のみを対象とする補助金も多くあります。

中堅企業は「中小企業より規模は大きいが、大企業よりは小さい企業」を指します。明確な定義はなく、補助金によって異なります。たとえば、工場立地などを支援する「中堅中小成長投資補助金」では「常時使用する従業員2千人以下」とのみ記載されていますが、新規事業を支援する「事業再構築補助金」では「資本金または出資総額10億円未満(定めていなければ従業員数2千人以下)」とされています。
「中小企業と思ったら実は大企業だった」というケース、またはその逆のケースはよくあります。補助金を申請する前に、本当に中小企業なのか資本金や従業員数を確認しておくことをおすすめします。

2024年09月03日付6面に掲載
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2018年12月25日 住宅産業新聞社 編集部

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