中小企業庁は14日、「中小企業成長加速化補助金」の公募要領を公開しました。具体的なスケジュールも公表され、募集開始が5月8日、締切が6月9日になるとのことです。成長加速化補助金は、売上高100億円超を目指す中小企業の大規模な設備投資を支援する補助金です。対象者は「100億宣言」を実施した中小企業です。
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「100億宣言」とは売上高100億円を達成するための目標・課題・取り組みについて事業計画を策定して申請し、認定を受ける制度です。本宣言が事前に「100億宣言ポータルサイト」で公表されていることが要件ですが、初回公募については補助金申請と同時に申請できるとのことです。なお、宣言できるのは売上高10億円以上100億円未満の中小企業のみとなります。そのため、業績不振の企業や規模が小さい企業にはハードルが極めて高い補助金となります。
その他、1億円以上の設備投資をすることも要件となっており、億単位の出費でも正常に運営できる体力が求められます。また、一定の賃上げ要件も設けられており、達成できなかった場合、補助金の返還を求められる恐れがあります。
補助対象事業は「売上高100億円を達成するための取り組み」です。対象経費は建物費、機械装置費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費です。
建物費、機械装置費、ソフトウェア費は単価税抜100万円以上である必要があります。補助上限額は5億円、補助率は1/2です。
審査では、売上高100億円を達成するためにリスクを取った投資をし、論理的に構築された事業戦略となっているかなどを問う「経営力」、地域の経済成長などにどれほど貢献できるかを問う「波及効果」、補助事業を適切に実施するに足る財務状況を確保できるかを問う「実現可能性」が見られます。また、書面審査の他に、プレゼンテーション審査も行われます。
プレゼン審査は原則申請者自身が参加する必要があります。なお、事業について金融機関の確認を得られれば、金融機関の担当者も同席可能になり、プレゼン審査の加点にもなります。
採択結果は今年9月上旬以降を予定しています。採択日から2ヵ月以内に交付申請をし、交付決定を受けてから24ヵ月以内に補助事業を実施することになります。
申請のハードルがものづくり補助金などと比べて高いですが、補助額が最大5億円と非常に規模が大きいため、工場新設や大型設備の導入などを検討しているのであれば、是非チャレンジしてほしい補助金です。
なお、さらに大規模な設備投資を検討している場合は「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」があります。生産性向上や省力化に資する大規模投資を支援する補助金です。10億円以上の設備投資が必須要件となっていますが、最大50億円(補助率1/3)を受給できます。また、常時使用する従業員が2千人以下であれば、中小企業でない企業も申請可能であり、「100億宣言」をする必要もありません。現在、3次公募が10日から実施されており、4月28日締切となります。
補助上限額が大きい補助金であればあるほど、審査が厳しくなります。10億円以上の設備投資でも「成長加速化補助金」の方が採択されやすい場合もあります。今後予定している設備投資の規模感を確認の上、その投資に見合った補助額の補助金を申請するようにしましょう。
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