【まちづくり特集2018】空き店舗の有効活用や被災地の集団移転、まちづくり法人表彰の受賞者が決定

第7回まちづくり法人国土交通大臣表彰で審査委員長賞を受賞した都市住宅とまちづくり研究会(東京都千代田区、杉山昇理事長、としまち研)は、東日本大震災の津波によって住む場所を奪われた宮城県東松島市の住民の集団移転先の開発に、コーポラティブ方式を導入した。入居後に住民同士のご近所付き合いが始まる住宅団地が一般的だが、この「あおい地区」では、まち開きの前にすでに顔のわかる濃密なコミュニティが醸成されている。

としまち研は、都心の過疎化の解決を目的に2000年に設立されたNPO法人。住む人が主体となって集合住宅を建設する「コーポラティブ方式」を活用して、都心などのまちなかに住民を呼び込む活動をしていた。

東日本大震災の発生直後から、法人として東北地方の復興に何かできないかと検討していたところ、2012年1月に東松島市と復興業務支援で協定書を結んだ。

としまち研は、集団移転する被災者のまちづくり組織を提案し、業務が終了する15年3月末まで住民主体のまちづくりを支援した。活動の詳細は、17年8月に法人が発行した冊子「日本一住みやすいまちをめざして――東日本大震災からの復興」(直販のみ、1冊2千円)にまとめられている。

としまち研が関わったあおい地区は、東松島市が整備した7ヵ所の集団移転先の1つ。JR東矢本駅に隣接する約22ヘクタールの土地に、災害公営住宅307戸、集団移転273区画の計580世帯が暮らす新しいまちだ。

住民組織は、区画決めからまちなみルールの策定まで、移転する住民同士がひざを突き合わせて、話し合って決めた。「住民同士の話し合いで決めると、その後の文句は一切出ない」と、としまち研理事の三浦史郎さんは話す。手間はかかるが、苦情を聞くなどの余計な時間は出ない。

災害公営住宅の住戸決めも話し合いで決めた。急がば回れの方式だ。

まちなみルールも住民が話し合って決めた。容積率80%、建ぺい率50%、建物高さ10メートル以下、敷地の細分化を防ぐため最低面積を280平方メートルとするなど、良いまちなみを維持するため、さまざまな決まりを設けている。

ユニークなルールが、道路から1メートルの範囲を中間領域と定め、門塀や車庫などを作ってはいけないとした「セミパブリックゾーン」だ。緑豊かなゆとりのあるまちなみはこのルールのおかげだろう。

住民発案のまちなみルールは、東松島市が地区計画として認めており、あおい地区での住宅建築、外構工事の際は、市への届け出が必要になった。まちなみルールは、地区中央の公園前に看板で掲示されており、誰でも確認できる。

2018年06月07日付11面から抜粋
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2018年12月25日 住宅産業新聞社 編集部

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