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注目の助成金(214)補助金申請時の勘所、事業計画には定量的な目標を

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事業計画を策定する際、非常に重要となるのが「定量的な目標を盛り込むこと」です。定性的な表現だけでは説得力を欠き、審査員に事業の実現可能性や成果の大きさを十分に伝えることができません。数字によって裏付けされた計画は、客観性と具体性を持ち、審査の際にも高く評価されやすくなります。

今回も補助金の採択率を高めるために、事業者が事業計画作成時に考慮しなければならない「勘所」について紹介します。

「売上アップを目指します」、「業務効率化を図ります」、「地域貢献を推進します」といった目標を掲げる事業計画も多く見られますが、それだけでは「定性的な目標」となります。具体的にどれだけの成果を見込んでいるのかが明確でないため、弱い表現となってしまいます。そのため、「前年比売上30%増加」、「作業時間を1日あたり2時間削減」、「地域の新規顧客数を年間100件獲得」といった定量的な目標を盛り込むことが極めて重要です。

定量的な目標を設定する際は、その数値の根拠や背景もセットで示すことが求められます。たとえば、「売上30%増加」を達成できる根拠として、「新たな設備導入により製造能力が1・5倍に拡大し、月間出荷量が従来の300台から450台に増加する見込みである」といった論理の流れを明確に記述します。こうした説明があることで、審査員も「この数値には合理性がある」と判断しやすくなります。
また、目標は複数設定することが望ましいです。たとえば、「売上向上」、「生産性向上」、「コスト削減」など、複数の角度から事業の成果を示すことで、補助金がもたらす効果を多面的にアピールすることができます。それぞれの目標に対して、「どれくらいの期間で達成できるのか」というスケジュール感も併せて記載すると、より説得力が増します。

たとえば、「補助事業終了から1年以内に達成」、「導入後半年で稼働率90%を実現」といった表現が挙げられます。

なお、定量的な目標は補助金の目的に合わせなければなりません。たとえば、「省力化」を目的とした補助金において、「売上を30%増加させる」といった点を強調しても、補助金の趣旨と合致していないため、評価されにくくなります。公募要領をしっかりと読み込み、どのような成果を定量的に示すべきかを事前に整理することが大切です。

定量的な目標を設定することは、採択後の事業実施や実績報告の際にも大きな助けとなります。実績報告では、「当初掲げた目標と比べて、実際の成果はどうだったか」を示すことが求められます。あらかじめ数値目標を明示しておくことで、これらの報告もスムーズに行うことができ、補助金の適正な活用を証明することにつながります。

また、数値を用いることで事業関係者における認識の共有も容易になります。抽象的な目標では、受け取り方に個人差が生まれやすく、計画の実行段階で混乱を招くリスクがあります。しかし、定量的な目標があることで「何を」「いつまでに」「どれだけ」達成すればよいのかが明確になり、組織としての動きも統一され、円滑な事業実施が可能になります。

なお、数値目標をあくまで達成可能な範囲で設定することも重要です。実現不可能な高すぎる目標は、かえって事業の信頼性を損ねる要因となります。審査員も現実性を重視するため、実績や市場調査などを踏まえて、実行可能な範囲内で意欲的な目標を掲げることが求められます。

以上のように、事業計画書において定量的な目標を盛り込むことは、採択の可能性を高めるだけでなく、計画の実行や報告においても多くのメリットがあります。「数字で語る計画」は、客観性・透明性・説得力を兼ね備えた強力な武器になります。補助金の採択を目指す上では、この視点を意識して事業計画を構築することをおすすめします。

2025年06月24日付6面に掲載
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2018年12月25日 住宅産業新聞社 編集部

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