注目の助成金(142)補助金併用でお得、税制優遇の最新情報

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事業再構築補助金やものづくり補助金等の大型補助金が2023年から大幅な要件変更がされています。一方、補助金と併用できる「経営力向上計画」や「先端設備等導入計画」の税制優遇は23年4月以降に変更される予定です。そこで今回は税制優遇の最新情報について紹介していきます。

(1)「中小企業投資促進税制」

まず「中小企業投資促進税制」ですが、23年度末だった適用期限が延長されて、24年度末まで活用できるようになる予定です。設備投資を行った場合、その設備投資に係る30%の特別償却、もしくは7%の税額控除が適用されます。

特別償却とは通常の減価償却とは別枠で償却ができる制度です。つまり、設備の取得価額の30%分について、償却費用を追加計上することが可能になります。利益から通常の減価償却費+特別償却費が差し引かれることによって、その事業年度の法人税の負担が軽減し、キャッシュフローが改善されます。

一方、税額控除は純粋に税額が軽減されますが、資本金3千万円以下の中小企業しか利用できません。どちらも利益が大きくなり、法人税が増えそうな事業年度に活用すると効果を発揮します。

(2)「中小企業経営強化税制(経営力向上計画)」

次に「中小企業経営強化税制(経営力向上計画)」についても23年度末だった適用期限が延長され、24年度末まで活用できるようになります。中小企業の経営基盤強化のための事業計画「経営力向上計画」の認定を受けた後で、その計画に基づく設備投資を行うと、即時償却または10%の税額控除(資本金3千万円超は7%)のいずれか活用できます。

即時償却とは、通常は設備の耐用年数に応じて経費計上すべき減価償却費を初年度に全額計上できる制度です。即時償却により、初年度の利益を低く抑えられるため、法人税の負担が軽減し、キャッシュフローを改善できます。また、中小企業経営強化税制の税額控除は中小企業投資促進税制の税額控除と併用できます。ただし、各税額控除の合計はその事業年度の法人税額の20%が限度となります。

(3)「先端設備等導入計画」

第三に、対象設備に係る固定資産税を3年間ゼロにすることができる「先端設備等導入計画」ですが、こちらは大幅に要件が変更されます。

前回では「事業計画において労働生産性が年平均3%以上向上すること」等の条件を満たせば、固定資産税が3年間ゼロになる特例を受けることができました。しかし今回は、(1)「雇用者全体の給与の1・5%以上増加を従業員に表明すること」(2)「年平均5%以上の投資利益率が見込まれる設備投資を行うこと」というより厳しい要件を満たさなければなりません。政府の重点施策である「構造的な賃上げ」の一環としての措置となります。

固定資産税については2/3が5年間控除されるため、前回よりは税負担を減らすことができますが、賃金を上げる必要があるため、実質的な負担の軽減度合いはむしろ前回より小さいかもしれません。また、賃上げの表明を行わない場合は「固定資産税の1/2を3年間控除」になるとのことです。

上記で紹介した税制優遇と「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」等の補助金は併用できます。

たとえば、事業再構築補助金(通常枠)と中小企業投資促進税制を併用すれば、対象設備に対して最大8千万円の補助が下りるだけでなく、取得価額の7%の税額が控除されることになります。

また、ものづくり補助金では賃上げを行うと上限額の引き上げが行われますが、このタイミングで先端設備等導入計画の税制優遇も活用すれば、「それぞれ別に賃上げを行う」という手間が省かれます。

中小企業投資促進税制と中小企業経営強化税制については要件変更がほぼないため、現在公表されている要項を確認して申請の準備を進めても問題ないでしょう。しかし、先端設備等導入計画に係る固定資産税の特例については大幅変更されるため23年度になってから改めて要件を詳しく確認する必要があります。

    株式会社ナビット(https://www.navit-j.com/)
    東京都千代田区。「地下鉄乗り換え便利マップ」などを展開するコンテンツプロバイダー。地域特派員5万8100人の全国の主婦ネットワークにより、地域密着型の情報収集を得意とする。
    最新の情報は、助成金・補助金の検索サービス「助成金なう」へ
2023年02月28日付6面に掲載
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2018年12月25日 住宅産業新聞社 編集部

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