2018年の西日本集中豪雨、19年の千葉県の大規模停電、そして20年の熊本県を中心とした集中豪雨と、近年大規模な災害が立て続けに発生し、多くの事業者が深刻な経済的ダメージを負っています。新型コロナウイルス感染症の影響も相まって、日本は戦後史上まれにみる経済的危機に陥っています。
その危機から生き残るためには、BCP(災害等非常事態が発生しても事業継続できる、またはすぐに事業再開できる計画)を策定し、事前に防災対策に取り組んでおくことが肝要となります。各省庁・自治体でも助成金・補助金を設けて、企業による防災対策や事業再建を積極的に支援しています。
(1)BCP実践促進助成金(東京都)
東京都では、中小企業がBCPを策定した後、必要な防災設備を導入した場合、その経費の一部を助成しています。上限額は1500万円と非常に大きく、助成率は2分の1(小規模事業者は3分の2)です。なお、感染症対策を盛り込んだBCPを策定した場合、助成率は5分の4に引上げられます。
助成対象経費は「自家発電装置」「データ管理用サーバー」「従業員用の非常食」「簡易トイレ」「マスク・消毒液」「耐震診断」と非常に幅広く、募集期間も21年1月29日までとなります。なお、申請するには「BCP策定支援講座」を受講するか、「事業継続力強化計画((4)で説明)」を策定しておく必要があります。
(2)なりわい再建補助金(仮称)(経済産業省)
20年7月に発生した集中豪雨及び新型コロナの影響により経済的被害を受けた中小企業・小規模事業者に対して、生業が円滑に再建できるように、各自治体と連携して復興に必要な額を補助します。
主な補助対象経費は、災害により被害を受けた工場・店舗の施設の改修費用、生産機械等の設備の復旧費用等となります。補助額は上限15億円、補助率は4分の3となります。
また、被害規模や内容によって小規模事業者に対する柔軟な支援ができるよう、「被災小規模事業者再建事業」も設けられています。こちらは上限200万円、補助率3分の2となります。
(3)セーフティネット保証制度4号(中小企業庁)
「セーフティネット保証制度」は、災害や取引先の倒産等により経営が悪化した中小企業を救済するための制度です。一般保証限度額の別枠を設けることで、経営改善のための資金調達の円滑化を図ります。
経営悪化の理由により種類が分かれるのですが、「セーフティネット保証制度4号」は自然災害の発生で売上高が減少している事業者を対象にしています。指定地域にて1年間以上事業を継続しており、かつ売上が前年同月比20%以上減少、及びその後2ヵ月間を含む3ヵ月間の売上が前年同期比20%以上減少していることが条件です。
指定地域には20年7月の集中豪雨の被害を受けた地域(熊本県、山形県等)の他、19年に猛威を振るった台風19号の被害を受けた地域(長野県等)等があります。ちなみに、新型コロナウイルスの影響を受けた地域も指定地域となっており、全都道府県が含まれています。
(4)事業継続力強化計画(中小企業庁)
中小企業庁では、中小企業による防災・減災対策に関する取組を促進させるため、「事業継続力強化計画」の認定制度を設けています。「ハザードマップを活用したリスクの把握」「災害発生時の対応手順」「建物や設備の保護、従業員の安全確認手段」など、具体的な防災対策を盛り込み策定した上で、管轄の経済産業局に提出します。
認定されると、税制優遇、金融支援、補助金審査の加点等の優遇措置を受けられます。万が一に備えて、「事業継続力強化計画」の策定を通じて、防災体制を整えておくことをおすすめします。
これ以外にも「地震で崩壊しそうなブロック塀の除去」「建築物の耐震診断」「被災した工場の復旧」等、多くの自治体では防災対策や事業再建を支援するためのさまざまな助成金・補助金を公募しています。お住まいの自治体のHPを確認して、どのような助成金・補助金があるか確認してみましょう。
記事をシェアする
こんな記事も読まれています
最近の連載
- 注目の助成金(191)補助金申請時に提出が必要な2つの書類
- 注目の助成金(190)「みなし大企業」の定義とは
- 注目の助成金(189)本当に中小企業ですか?大企業との違いとは
- 注目の助成金(188)申請時に提出必須!補助金における見積書のルールとは
- 注目の助成金(187)ZEHの集合住宅の新築を支援
- 注目の助成金(186)電気代削減に役立つ法人向けの空調補助金
- 注目の助成金(185)【東京都知事選】首長によって補助金の傾向が変わる?
- 注目の助成金(184)エアコン補助金を活用して電気代を節約しよう
- 注目の助成金(183)省力化投資補助金のベンダー登録について紹介
- 注目の助成金(182)4万円の定額減税、気になるポイントを紹介