住友林業(東京都千代田区、光吉敏郎社長)は、潮風や強風などの過酷な環境下での植物の生育状況を調査・分析する実験を大阪市此花区の人工島・舞洲地区で実施中だ。実験では、雨水を貯めるトレーに植物を植え付けるなど、3種類の異なる条件を与えて育ち方の違いなどを検証する。トレーに植え付けた植物は移設が容易となり「催事などの仮設設置にも適している」と話す。
実験場所は、2025年4~10月まで開催予定の大阪・関西万博の会場となる夢洲(ゆめしま)の隣接エリア。万博会場の完成予想図では、多くの植物が歩道を飾る。
実証実験を公募した2025年日本国際博覧会協会と大阪商工会議所は、「今回の実験採択と万博での採用は無関係」と明言しているものの、住友林業は「この実験で科学的なデータを集め、改めて万博会場の緑化を提案したい」と、採択への意欲をみせる。大阪・関西万博を見据えた動きが住宅業界にも広がりそうだ。
同実証実験は、2025年日本国際博覧会協会と大阪商工会議所が、万博開催の気運醸成と未来社会を見据えたイノベーション創出に向けて実施した夢洲での実証実験公募に採択されたもの。住友林業の「グリーンインフラの高度化に関する実証実験」は採択された9案件のうちの一つ。実験は10月18日から22年10月24日までの約1年間、万博会場に隣接する舞洲中央運動場付近で行う。実験場所は海岸まで直線距離で約100メートル。防潮林で海は見えないが、潮の香りから海の近さが感じられる場所だ。