住宅業界の景気動向を掴むうえで最も重要な統計資料が、国土交通省が毎月月末に公表する建築動態統計調査のなかの「住宅着工統計」です。1ヵ月の間に着工した建築物のうち、住宅の着工戸数などをまとめています。
着工で関連業界の先行きをみる
住宅着工統計では、新しく建てられる住宅を、戸数や床面積、構造別、利用関係、資金などの項目別で集計しています。この統計を詳しく分析すると、今の住宅業界の景気が「良い」のか「悪い」のか、また住宅に関連する産業の見通しが「明るい」のか「暗い」のか、景気の浮き沈みが掴めます。
2014年12月の住宅着工統計は、15年1月末に公表されました。住宅産業新聞では2015年2月12日付け6面に、都道府県別の詳細な数値を掲載しています。この統計数値を分析すると、2014年の住宅業界の全体像が浮かび上がります。それでは2014年の新設住宅着工をグラフでみてみましょう。
まずは2014年の新設住宅着工戸数の概要です。総戸数は89万2261戸で、2013年と比べると約1割(9万戸)減りました。14年の神奈川県の着工総戸数が6万5千戸、中部圏が約10万戸だったことからも、9万戸という規模がイメージできると思います。都道府県別の詳細なデータは新聞をご確認ください。
利用関係別の戸数をみると、持家が約2割、分譲住宅が約1割減少した一方、貸家が横ばいとなりました。この数字だけをみると貸家のみが好調だったといえます。また、利用関係別戸数の割合をみると、貸家が大きくシェアを伸ばして、反対に持家と分譲住宅のシェアが減りました。利用関係別の給与とは、会社や官公署、学校などが社宅や官舎などの目的で建設した住宅のことをさします。
貸家の伸びで市場の構造が変わる
新設住宅着工戸数の4割が貸家となり、持家が3割、分譲住宅が4分の1となりました。13年の貸家と持家の割合は、それぞれ約36%で拮抗していました。新築住宅市場の構造が大きく変わったことがわかります。