【まちづくり特集2019】緑地の価値を評価、ABINC認証が住宅にも

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ABINCを取得したオフィスビルABINCを取得したオフィスビル

認証制度の創設当初は、大きな緑地を設ける必要がある工場を主な対象に、ガイドラインに基づく生物多様性に配慮した緑地づくりを推進していた。

その後、集合住宅や都市再開発、ショッピングセンター、物流施設、戸建住宅団地などの比較的面積の小さな緑地についても、第三者認証制度を実施してほしいとの声を受け、対象物件を拡大してきた。

緑地面積は小さくても、「周辺地域に生息する鳥や蝶、虫などの移動範囲内にあれば、餌場や休息地、移動の際の中継地点」(ABINC事務局)になることから、「認証緑地が増えるほど、エコロジカル・ネットワーク(生態系ネットワーク)が形成されやすい」(同)という。

生物の生息範囲が広がれば、種の交流などで生物多様性が促される。

そして、2018年には複数街区が一体的に整備される大規模なまちづくりを対象に、エリア全体での生態系保全の取り組みや、複数事業者の協力体制、地域のサスティナビリティへの貢献などを評価する新しい認証シリーズ「ABINCアドバンス」を開発し、運用を始めている。

販売時に緑地の価値をアピール可能

この認証制度の活用が、集合住宅や戸建住宅団地にも広がっている。以前から、生物多様性に力を入れてきたデベロッパーや住宅メーカーは、同認証制度を活用することで第三者による緑地の「お墨付き」が得られるわけだ。

さらに、計画図面でも認証取得が可能なため、未完成物件でも、販売時に「緑化の価値」を根拠を示しながら訴求できるといったメリットもある。

ABINC認証には、資産価値を維持したり、ローン金利が優遇されたり――などの具体的な経済効果はまだないが、これからの時代の持続可能なまちづくりの参考指標のひとつとして、導入してみるのもよいだろう。

2019年06月06日付7面に掲載
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2018年12月25日 住宅産業新聞社 編集部

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