中でも浴室のリフォームは、浴室内に施工された既存の商材を解体・撤去してから、既存床から下の高さを正確に把握できるため、LIXILは『リモア』以前のシステムバス商品では、一定の床高さを出すための脚材として、固定した長さのバリエーションを数多く揃え、施工事業者は現場の状況がわからないため、長さが異なる脚材を持参し対応していた。
しかし、これでは現場に持参する施工部材が増えてしまうほか、ある程度の目安をつけて持ち込んだ脚材のサイズの幅に対応できない床下高さであった場合、適切なサイズの脚材を取りに戻らなければならない。住宅の部分リフォームは、その家に住む居住者が生活する中で行われるため、工期の遅れはクレームを生む元となってしまう。
このためLIXILは『リモア』の開発にあたり施工性の向上を重視、従来のサイズ固定の脚材ではなく、ボルト式で長さを調整できる新しい施工システムを導入した。
具体的には、床を支える金属製フレームに、脚材を取り付ける内部に、〝らせん〟を切った取り付け箇所を作り、ネジ式のボルト脚を取り付けるシステムを新たに採用した。当該システムは、仮に脚を置く面が水平でない場合でもボルトで微調整ができるほか、いくつかの長さのボルト脚を揃えることで、240ミリから590ミリの床高さに柔軟に対応できる。
当時、浴室の床高さを一定の範囲で調整できるボルト脚採用の施工システムはなかったため、業界初の画期的なシステムだった。
その後、LIXILは、同社がラインアップしている既存の戸建住宅用システムバスのすべての商品の施工システムを、ボルト脚採用の施工システムへと切り替え、現場対応力と施工の省力化を図っている。