システムバス 高級帯はリラクゼーション追求
システムバスの高級化路線は、滑りにくいフロア材の採用や、足を置いても冷たくない床や保温性の高いバスタブの導入、排水口の清掃性の向上といった、各社の競争が一段落した5年ほど前から顕著になった。
システムキッチンの高級帯と同様に、高額帯のシステムバスの市場には、普及帯の倍を優に超える価格の商品が各社から販売されている。
ここ数年のシステムバスの高級化路線の特徴は、従来競われてきた壁材および床材の高級化を代表とする、浴室構成部材の上質化およびカラー表現の高度化から、浴室空間全体としてのリラクゼーション性のさらなる追求へと移りつつある。そして、そのリラクゼーション性の追求の際に各社が開発コンセプトのベースに置く傾向にあるのが、高級リゾート地における夜間の露天風呂・温泉だ。
この〝夜間の露天風呂・温泉〟の情景や入浴環境を限られた空間であるシステムバスを置いた浴室の中で再現しようと、夜の雰囲気の演出としては間接照明を活用し、リラックスタイムの演出としてムード音楽などを聴くことができる浴室内スピーカーなどを用意した商品もある。
また、前述の「床の滑りにくさ、バスタブの保温性」といった基本的な機能・性能以外の各社の競争としては、シャワーや固定水栓以外に湯の吐水口を設け、そこからの流水を体のマッサージに利用する商品が一部で出始めている。
「キッチン選びは女性が決定権を持つ場合が多いが、バス選びは男性がこだわる事例が少なくない」(大手住設メーカー)ため、高級システムバス商品のアピールは、男性に対する工夫も重要だ。