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注目の助成金(226)補助金申請時の勘所、事業計画策定時に役立つ4P分析

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事業計画を策定する際には、どのように製品やサービスを市場に提供し、顧客に選ばれる仕組みを構築するかを明確にすることが重要です。その際に役立つ基本的なフレームワークの一つが「4P分析」です。

4Pとは、マーケティングの4つの要素『Product(製品)・Price(価格)・Place(流通)・Promotion(販促)』の頭文字を取ったもので、事業の方向性を整理し、顧客に対して一貫性のある戦略を立てる際に欠かせない考え方です。

今回は、それぞれの要素の意味と、事業計画策定における活用のコツを説明します。

Productは製品やサービスの内容を指します。ここでは単に「何を売るか」だけでなく、「どのような価値を提供するか」が重要です。顧客が求めているのは「製品そのもの」ではなく、「その製品によって得られる解決策や満足」です。

たとえば、飲食業は「食事」ではなく「快適な時間」や「健康的な食体験」が価値となることもあります。

事業計画では、自社の商品・サービスの特徴だけでなく、他社と差別化できるポイント(品質、デザイン、機能、ブランド、アフターサポートなど)を明確に記載するとよいでしょう。また、製品ラインアップの幅や改良計画を示すことで、将来の展開力もアピールできます。

Priceは価格戦略です。価格は単にコスト+利益で決まるものではなく、顧客の心理や市場の競争状況によって大きく影響を受けます。事業計画策定時には、「ターゲット顧客が支払う価値をどう設定するか」という観点で検討することが大切です。

価格設定には、コストプラス法(原価に一定の利益を上乗せする)、競合価格法(競合の価格に合わせる)、市場価格法(市場価値=顧客の感じる価値に基づいて設定する)などがあります。

Placeは、製品やサービスを顧客に届けるための流通経路・販売チャネルを意味します。単に「どこで売るか」という話ではなく、顧客が商品を手にするまでの「導線設計」に関わります。

たとえば、店舗販売・ネット販売・代理店・直販など、どの経路を採用するかによってコスト構造や利益率も変わります。近年では、オンラインとオフラインを組み合わせたオムニチャネル戦略(例:ECサイト+実店舗+SNS連携)も効果的です。

また、製品を顧客に届けるスピードや利便性も競争要素の一つです。「自社配送体制」「地域密着型営業」「在庫管理システム」など、顧客満足につながる工夫を具体的に説明すると、計画書の信頼性が高まります。

Promotionは販売促進活動です。どれほど良い製品でも、存在を知られなければ売上にはつながりません。事業計画では、ターゲット層に対してどのように情報を届け、購買意欲を高めるかを明示することが重要です。

販促手法は多岐にわたります。たとえば、広告(Web広告、SNS、チラシなど)、広報活動、イベント出展、口コミ促進、キャンペーンなどがあります。特に中小企業や新規事業では、大規模な広告よりもターゲットを絞った施策(SNS発信、地域連携、紹介制度など)が有効です。

また、販促活動の目的を「新規顧客の獲得」だけでなく、「リピート促進」「ブランド認知向上」など複数設定すると、事業の成長性を感じさせる計画となります。

4P分析で最も重要なのは、各要素がバラバラに存在するのではなく、「一貫性」を持って設計されていることです。「高価格」なのに「低品質」「安売りイメージの販促」では整合性が取れません。逆に、「高品質・高価格・限定的な流通・高級感のあるプロモーション」のように、4つの要素が連動していると、明確なブランドイメージを確立できます。事業計画では、この整合性を意識して記載することが採択・評価のポイントになります。

2025年11月18日付6面に掲載
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2018年12月25日 住宅産業新聞社 編集部

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