国土交通省の中央建設審議会(中建審)は6月30日、建設業における労務費のあり方について、会合を開催して意見を交わした。
防災・減災や国土強靭化のための予算が増えるなど、今後も建設業が国内経済で一定の規模で推移するのに対し、担い手確保の見通しは厳しい。
「経済財政運営と改革の基本方針2025」でも〝労務費基準〟の設定といった中建審に求められている役割が示されたほか、その〝実効性確保〟、建設キャリアアップシステム(CCUS)の利用拡大が明記された。閣議決定となったばかりの「新しい資本主義のグランドデザインおよび実行計画」でも、基準を活用した労務費と経費の確保・支払いに言及。他産業に見劣りする賃金・働き方に対する危機感から、中建審内に「労務費基準に関するワーキンググループ(WG)」を設置し、具体策としての労務費基準策定と実効性確保を検討してきた。
その目玉の一つとして、事務局である国交省や、住宅生産団体連合会を含む多くの業界団体が実行を求めているのが、標準請負契約約款の改正だ。
改正を目指しているのは、公共工事標準請負契約約款や民間建設工事標準請負契約約款(甲)だけでなく、戸建住宅などに使われる民間標準請負契約約款(乙)や標準下請契約約款――の4約款。標準約款は、中建審が作成するものだ。
改正内容は、主に3点ある。1点目は、資材価格が急激に高騰した際に、請負代金などの「変更方法」について、契約書に記載する必要がある条項を規定するということ。例えば契約書に、「材料価格に著しい変動価格を生じたときは、受注者は、請負代金額の変更を請求できる」「変更額は協議して定める」などを盛り込むように約款で示す。