【まちづくり特集2018】住宅生産振興財団、多様化する地域課題に住宅メーカーが協働提案

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少子高齢化や防災・防犯、環境問題、団地再生、まちなか居住など、多様化・複雑化する地域課題に対応するため、一般財団法人住宅生産振興財団(東京都港区、理事長=竹中宣雄ミサワホーム取締役会長)は、大手住宅企業と連携して、社会の要請に応えるまちなみのコーディネートに取り組んでいる。

中立的な立場の財団が、地域と住宅企業の間に入ることで、企業の枠を超え、国の政策・方向性などに沿ったまちなみの提案を目指している。

政府が住宅政策を量から質へと舵を切った1979年、住宅や住環境の質の向上に取り組むことを目的に、同財団は設立された。会員社は、旭化成ホームズ、スウェーデンハウス、住友林業、積水化学工業、積水ハウス、大和ハウス工業、トヨタホーム、パナソニックホームズ、ミサワホーム、三井ホームの大手10社。

財団の基盤事業でもあるまちなみコーディネート事業は、UR都市機構や地方公共団体、民間開発事業者などから、まちづくりに関する情報を入手し、財団が事業性があると判断した案件は、会員社でJV(共同企業体)を組織し、企画提案コンペなどに参加して事業化する。

これまでに約450ヵ所のまちなみ形成やまちづくりに参画し、約2万戸の住宅を供給してきた実績を持つ。

ひとつのプロジェクトに複数の住宅企業が参画するのが財団のまちづくりの特徴だ。各社のまちづくり事業の責任者らが集まり、それぞれの経験に基づく議論を交わしながら、まちのコンセプト、区画割り、道路設計、効率的な造成手法や値付け、事業収支計画などを詰めていく。

さらに、「屋根の形状や向き」「駐車場の位置」「緑量や門柱デザイン」など、住宅建設時の細かいルールとなる「まちなみガイドライン」を定める。このルールのおかげで、複数の住宅企業が住宅を供給しても、統一感のあるまちなみが形成されるという。

「様々なデザインの住宅が並び、自然に開発されたような景観が形成されるから、財団が手掛けたまちが好き」という根強いファンもいるほどだ。

一方、大手住宅企業を会員社に持つ財団が区画整理事業などに参画することで、開発スピードを高めるという効果も発揮できる。

東日本大震災による津波被災者の集団移転先に位置づけられた宮城県仙台市若林区の「荒井西なないろの里ヒカリガイク」では、住宅企業9社による共同事業体が、自然災害によって住まいを奪われた地域住民の新しいまちづくりに取り組んだ。

2018年06月07日付6面に掲載
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2018年12月25日 住宅産業新聞社 編集部

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